建物探訪 New&Topics
素材感をいかす
まるでカフェかと見まがうような、愛らしくシンプルな外観の「T邸」。新興住宅地の中にあってひときわ目立つその家は、「木そのままの素材感を生かしつつ、モダンな雰囲気にしたかった」という施主の言葉通り、飽きのこない自然な質感が特徴だ。
板張りの壁は、時間(とき)の移ろいとともにその表情を刻一刻と変える。
夜の帳(とばり)が落ちた時、柔らかな光が二階の大開口部からこぼれだし、家全体を優しく包み込んでゆく。
空間に奥行きをもたせる白
この家には、細部にいたるまで、インテリアショップで働く施主の想いがこめられている。
真っ白な大きめのタイルが敷き詰められた玄関は、可能な限り広くとられた。正面の引き違い窓から入る光が、白い壁や床に反射して、空間に奥行きをもたせるためだ。ナチュラルカラーのシューズボックスも存在を誇示しすぎないようにうまく設えられた。
また、蹴込みのないストレートなオープン階段を採用。暗くなりがちな廊下も明るく広々とした印象になっている。
二階はリビングダイニング。傾斜天井とダイナミックな梁が心地よい開放感を与えてくれる。仕切をなくすことで、LDKとウッドデッキにつながりをもたせゆったりとした雰囲気に。
上質な暮らしを彩るオリジナルのドイツ製キッチンや、施主自ら選んだイタリア家具が空間に落ち着きを与えている。何よりも素朴でざらりとした木の質感を伝えるウォールナットの床は、何物にも代え難い。
モダンな和空間
階段をはさんだ向かい側には、琉球畳や無垢の木を使った建具で和の表現をモダンに処理し、光と影で彩られた現代的な和風空間を実現させた。ダウンライトの照明が、インテリアを仄かに浮かび上がらせ、完璧な日本美を演出している。
色味と質感を全体的に統一させることで、家全体に広がりのある空間と心地よさを生み出す。
建具はもちろんのこと、間接照明やドアの把手、あるいはタオル掛け一つにしても、細部が全体のイメージを損なわぬように、とこだわった施主の想いが見事に昇華され、形となって、完成した。
【建築データ】
所在地/滋賀県彦根市高宮町
家族構成/夫婦
構造/木造2階建て
竣工/2007年2月
敷地面積/159.62㎡
延床面積/127.59㎡
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